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子どもの教育にあわせてフレキシブルに移動する時代

※これは2019年にまだ1回目のシンガポール滞在中に書いたものを再掲しています。今読み返すとこの教育を起点に海外に移住するということがこの3年で急速に進んだように思えます。そして自分自身もその形でまたシンガポールに戻っているので、改めて読み返すと色々感慨深いです。
少し前にタレントの紗栄子が息子をイギリスの全寮制の学校に入れるため、拠点をロンドンに移した、と報道されていたのを覚えている方もいるのではないでしょうか。

こういった動きは、芸能界などの一部の話ではなく、最近は自分のまわりでも増えているように思います。

特に、シンガポールでは海外への大学に進学するだけでなく、子どもだけ海外に出すということが日本に比べてずっと多いようです。

今回は、自分のまわりの例をいくつかご紹介します。

海外への進学が特別なことではないシンガポール

私は現在、外資系の会社のシンガポールオフィスで働いているのですが、オフィスのメンバーは国籍を問わず海外で教育を受けている人がとても多いです。

シンガポーリアンのメンバーでもシンガポール以外の大学を卒業している人が多数。(そして彼らはたいてい英語がきれい)

もちろんそういった人は、シンガポールの中でもいわゆるエリートと呼ばれるような層にあたるので海外進学率が全体平均よりもずっと高いのだとは思うのですが、その多さはかなり衝撃でした。

たとえば、ある時のプロジェクトのメンバーはシンガポーリアン3名、インド人1名、自分も含めて日本人2名だったのですが、私以外全員海外での教育を受けていました。

海外の著名大学に進むシンガポーリアンも増加

アメリカ大使館によると2015年の時点で、米国の教育機関に在籍しているシンガポール人は約4700人で、前年から3%増えており、過去10年間で最高だったそう。

さらにその多くはスタンフォード大学、ハーバード大学、コロンビア大学、バークレー大学などの有名校とのこと。(出典:Strait Times

 

シンガポールは英語も公用語の一つなので、言語がネックになることもなく、シンガポール以外で教育を受けることが現実的な選択肢として考えられるのも、海外への進学が多い理由でしょう。またシンガポール国内には大学は34校しかなく、そのうち国立大学は8個しかないということも理由かもしれません。

 

日本の場合だと、まず言語の点で難しく、もし海外へ行くことを検討しているなら、それを見据えて小さい頃からインターナショナルスクールへ入れるか、高校の段階で必死に英語をがんばるか、はたまた英語力が問われない段階で海外の学校に入るか、などになり、なかなか難しいことも多いのではないかと思います。

それに対してシンガポールの場合だと、言語の点だけ考えると、海外の進学が勉強の延長にありものすごく特別なことではないのではないかと推測します。日本の場合海外への進学を考えると通常とは別の言語での勉強をすることになるのでなかなかハードルも高く、なにより急にはできないですよね。

 

子どもの教育のために海外へ移住

先ほどのプロジェクトのメンバーの話ですが、一人のシンガポーリアンは、海外で教育を受けさせたいという親の意向で中学からヨーロッパの全寮制の学校に通ったそうです。

ちなみにこのシンガポーリアンの妹さんも、中東のイギリス系のインターナショナルスクールに通い、姉妹そろって中学から国外、しかもばらばらの学校だったそう。

(それ以外のメンバーは、高校がバーレーンのインド人、スタンフォード大学に通ったシンガポーリアン、イギリスの大学に通ったシンガポーリアン、ヨーロッパのMBAに通った日本人、小学校中学校がイギリスの私、という構成でした)

 

仲のよい中国出身のシンガポーリアンも、中国では競争が厳しすぎるのでシンガポールで教育を受けさせたい、という母親と共に母子で中学卒業と同時にシンガポールに移住

また、最近の例では、会社のシンガポーリアンの同僚が、シンガポールの教育に疑問を抱いたため、子どもが小学校に上がる1年前のタイミングでシンガポールを出ることを決めました。いくつかの国を検討した結果、行先はポルトガルに。

彼女はポルトガルでも今と同じ業種で働き、パートナーは今の仕事をリモートで続けながら必要に応じてシンガポールと行ったり来たりするそう。

これからは子どもの教育起点の移住も増えるのでは?

今までは、親の都合で駐在した先で教育を受ける、という親の仕事起点が多かったのが、これからは、子どもの教育を受けさせたい国で親が仕事を見つける、という形も増えるのかもしれません。

まだ下の子たちは2歳と1ヶ月で小さいのですが、将来そういうこともできるようなマインドセットとフレキシビリティーは持っていていたいな、と思いました。