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シンガポール どローカル保育園の日常

シンガポールには保育園、幼稚園など色々な種類があります。運営母体も教育方針も幅広く実際に選ぶ時には頭抱えてしまうくらい多様な学校があります。

今回はシンガポールのローカルスクールに関して実際に通っていたaikomochiさんにその体験談を書いてもらいました。


私の娘は1歳半くらいからシンガポールのローカル保育園に通っています。

「シンガポールで保育園さがし」でも触れたように、シンガポールの保育園では、保護者の就労状況に関係なく入園が可能。待機児童はまずありません。

一方で物価が高いシンガポールでは、共働きは当然。(なぜかは、東洋経済の記事をご覧くださいね)。

私の娘が通う保育園の保護者で、フルタイムで働いていないのは、私を含めてたったの2人。そのほかは、いわゆるスーツを着て働くような、オフィスワーカーの割合が半分くらい。残りが、商店(自営業)、屋台などの食堂補助、工場勤務など、さまざまな業態の仕事をする家庭です。

どの家庭も仕事がとっても忙しく、保育園はなくてはならない存在です。そして、忙しいからか保育園の些細なことにあまり気がまわらないのも事実です。

さて、そんなどローカルな保育園。園生活を過ごす中で、ちょっと驚くことや興味深いことを目の当たりにします。

でも、実は、それは忙しい家庭を配慮した上の行為とも。

今回はそんなびっくりエピソードをいくつかご紹介します。

 

熱があっても迎えにいけません。

保育園から電話がありました。私の娘の熱があがったとのことです。急いで迎えにいくと38度越え。即帰宅。

娘が回復してしばらくたったある日、いつものように娘を迎えに行くと、クラスメイトが少し離れたところで寝ていました。心配して聞くと熱があるのだそう。

あれ?お迎えは?

この子の両親は、公営住宅内のクリニックを医者と運営者。労働者向けの健康診断書を発行する医療機関であるため、毎日長蛇の列。その事情を知っている保育園側は、わたしには連絡をするが、迎えにこれない家庭には隔離して預かるという荒業に。

よく話を聞くと、親によっては熱があっても迎えに行けないと断るパターンもあるそう。そういう時のために、保育園は隔離というプランBをもっているとのこと。

保育園側も、親の状況に配慮している。

ルールだからと一辺倒にならずケースバイケースの対応に感服しました。

お昼寝したくない(させたくない)子は起きてます

通常のプログラムでは、12時半から3時まではお昼寝の時間です。2歳から6歳まで同じ時間。2時間半たっぷり寝ます。

保育園を見学したとき、ちょうど昼寝の時間帯。寝ておらずに一人で遊んでいる子や、入眠時間をコントロールしている子も。聞けば、昼寝が長すぎて夜に寝られないことを心配する家庭向けに、昼寝の時間を管理しているのだという。

うちの子必要以上に寝させないでください!

保育園にお願いすることとしては、勇気がいる内容だなあと思いました。

でも、保育園も夜寝ないで困る親の気持ちもわかる。こうした親の気持ちに配慮してくれて、差し支えがない範囲で要求を受け入れているのだなと、保育園の柔軟性の高さを感じます。

9時まで登園は目安

保育園は、原則9時までに登園が求められています。でも、実質は、9時半までぐらいに全員が登園するような感じです。ゆったり、シンガポールタイムです。

保育園がわも、9時までに登園しないと給食の食材調達に間に合わないとか、カリキュラムをのがすとか、あの手この手理由を見つけて共通のSNS上で親に訴えかけます。

でも、半分くらいしか響きません(笑)。

さらに先生も、9時に間に合ってない時があります。

わたしも9時ギリギリに登園しています。

子ども朝時間通りには動かないもの。ということを理解してくれているのかなと、寛容さを感じています(ちょっと、自分の都合よく解釈しているかもwww)。

制服が変わりました!のはずが2年経っても旧制服を着てる子6割

ここまでくると、保育園の「ルールや規則」は目安でしかないのを感じていただけたでしょうか。守ってもいいけど、イレギュラーな理由があれば守らなくていい。

そして、ほとんど毎日がイレギュラーなことがおこるので、ルールは守られることはない。

最後のエピソードは制服について。

シンガポールでは、保育園でも制服の着用がもとめられます。娘の通う保育園も入園当時は紫のポロシャツと紺の短パンが指定でした。その後、経営が変わって制服も一新。白を基調としたワンピースとTシャツになりました。

が、しかし。

経営が変わってから、2年近くが経ちますが、いまだに紫の制服勢の平均割合が6割。ひどい時は、娘以外誰一人白の制服を着ていない日もあります。

うちの娘くらいです。まじめに新しい制服を毎日着用しているのは。

このことについて、先生も、保育園も特に言わない。制服来てくださいという、紙ベースのお便りをいただく程度。

天候によって洗濯が乾かなかったり、白の制服が汚れてしまったり。これまた、家庭によって新しい制服を着ることができない理由が。

やっぱり、ルールは目安でしかないことを痛感しました。

互いに必要以上に頑張らない。要求には出来る範囲で応える。でも、重要と思うことにはすぐに対応する

どローカル保育園からのお願い対して、親は出来る範囲で対応するという関係をみて、必要以上に互いに気を使ってなくてよい距離感だと思いました。

預かってもらっているのだから恐縮するとか、

保育園にいわれたからやらなきゃとか。

制服にしろ、登園時間にしろ、親が気を使ってる感じはまったくしません。

遠慮はない。

保育園側も、仕事でいっぱいいっぱいの親をみているからこそ、実害が広がらない範囲で臨機応変に対応しています。一応、告知はするけれど、30%くらい響けばよいぐらいに思っているので必死さもない。

子どもが保育園でどう過ごせば楽しいか、親にとってどういう保育園運営であるとベターか。常に、保育園側は考えながら、運営しています。ルールや規則に縛られすぎるのではなく。

その時々に応じて柔軟に本質を捉える大切さを学びました。

ルールだけでなく、いわゆる社会全体に蔓延している「こうあるべき」という社会規範にも同じことが言えると思います。

保育園のいうことをあんまりまじめに聞いていない親たちの一方で、登園時間に間に合うよう子どもにすごい剣幕で怒っている自分が、いかにルールを守ることを優先しているのか、気づかされました。

次回も、シンガポールのどローカル保育園あるあるイベント編 から気づいたことをご紹介します。お楽しみに。

 

※本記事は2019年時点の体験となる一個人の体験談となります。